つひにゆく道

休職中の国語教師が教育・文学・音楽などについて語ります。料理と愛犬についても結構書きます。

休職してわかったこと④足枷のおかげで生きられる

1ヶ月弱、更新をサボっていました。先週は、もうない機会だからと、アメリカにNBAを観に行くという夢を叶えて来ました。これは後日紀行文としてまとめます。

 

もう何回も書いていますが、休職してわかったのは家族の有り難みです。

 

元気に働いていた時も、「こんな生活続けらられるのか」「こんなアホな教員ばかりの職場でやってられるか」「バスケは好きでも休みがないのは辛い」などなど、漠然と感じていましたが、考えることに蓋をしていました。

 

結果、全てを投げ出して飛び出して来たわけです。ギブアップでした。おかげですっかり元気ですが。

 

8年間のサービス残業の分を取り返す、使える制度は使ってやる、という気持ちで長く休みはもらいましたが、それももうあと1ヶ月です。

 

休職し始めた頃、よく考えていたのは「生きるのって大変だな、めんどくさいなぁ」ということです。

 

別にそこまで重いうつ病と言うわけではないので、本気で自殺を考えたりしていたわけでは無いですが、この大変な生活を続けるぐらいだったら、人生終わりにしてしまったほうがいいんじゃないかなんて考えたりもしていました。

 

今思うと、この発想自体がやばいですね。笑

 

もしかして、独身生活を続けていたら、そんなことになっていたかもしれません。

 

でも、僕には家族がいます。奥さんと、2匹の愛犬です。この人たちを残して去ると言うことは、僕にとっても辛すぎるし、相手の悲しみを想像すればとてもできることではありません。

 

他にも実家の家族や大切な友達もいますが、そちらに対してはあまりそういう発想になりません。まぁ悲しませることにはなるだろうけど、僕の性格上、そこを遠慮してまで自分の考えを曲げることはあまりしません。

 

この半年間、とにかく家のことをやりました。国語を教えることよりも料理の方がよっぽど得意なので、まったく苦になりません。むしろ、大好きな趣味が毎日できて幸せです。

 

奥さんは僕が作る食事やお弁当を、毎日本当においしそうに食べてくれるし、うれしそうにしてくれます。働いてないんだから飯くらい作って当たり前なのですか、いつも感謝してくれます。

 

2匹の犬たちも、いつもゆっくり散歩に連れて行ってもらえて、家でいくらでも僕に構ってもらえて、とても幸せそうだし心なしか元気になりました。

 

今まで、家のことを負担に思った事は無いので悪い意味ではなく、この3人が僕にきちんと心地よい足かせをつけて、この世に生かしてくれるのだと、思うようになりました。

 

こんな素晴らしい奥さんと、かわいい犬たちがいる、この温かい家庭があれば他のものはどうでもいいです。

 

毎日のご飯の時間や、奥さんや犬を連れて出かける時間が本当に幸せです。

 

だから、来月末から職場に戻りますが、今までのように何でもかんでも気を遣って頑張るのではなく、きちんと自分に合った形で、自分にとって大切なものを守るために働くことができそうです。

 

足かせと言うのは桎梏ですから、たいていは悪い意味で用いられる言葉ですが、僕にとってはこれに限って、とても良い意味の言葉のようです。

 

普通の人はそうでもないのかもしれませんが、少なくともあと30年以上大変な仕事を続けていくというのは、僕には1人だったらちょっとできそうにもありません。

 

家族がそれをできる力をくれるのです。こんな当たり前のこともよくわからずに、よく結婚なんかしたもんだと思いますが、最近は本当に心が暖かくて幸せな生活を送っています。

 

話は変わりますが、最近作家の西加奈子さんが書く本にはまっています。多分理由は、その多くの小説が自意識と拠り所をテーマにしているからです。

 

この人は小説の構成と設定が本当に上手い。そして安易に弱者の味方をしない。

 

僕が専攻していた太宰治にとっては、自分の生まれや女性との関係、そして聖書や非合法運動などがそれだったらでしょう。

 

これは俗に中二病と呼ばれる現象ですが、過剰な自意識を持て余すと言う性格は、変えられるものではありません。もちろんこれのせいで生きづらくなっているのは自覚していますが、こんな性を持った上に双子に生まれてしまったので、もう仕方のないことだと考えるしかありません。

 

でも、拠り所と言うのは自分で見つける、というよりどこかで出会わなくてはいけないものです。

 

今までにも、拠り所だと思っていたものがたくさんあります。例えば生徒、国語を教えること、バスケットボール、音楽、文学などなどですが、拠り所がそんなにたくさんあるわけはありません。それらは「重要なもの」に過ぎず、拠り所としてのそれとは一線を画すらしいです。

 

本当の拠り所は、今一緒に暮らしているこの家族です。だからこの先、病んだりキレたりすることはもちろんたくさんありますが、それを無視して自暴自棄になることなんか絶対にないんじゃないかと思っています。

 

本当に素晴らしい家族に恵まれて幸せだと思っています。 

 

 

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