つひにゆく道

休職中の国語教師が教育・文学・音楽などについて語ります。料理と愛犬についても結構書きます。

文学

休職して分かったこと②時が経つのは早い

To be or not to be,that is a question. シェイクスピアの「ハムレット」に出てくる有名な辞句で、日本では「生きるか死ぬか、それが問題だ」と訳されますが、これは哲学的には「実存」と呼ばれる「いま、ここ」にあるか(ないか)という問題です。 これを…

君たちはどう生きるか

今話題になっている、「君たちはどう生きるか」と言う本について書きます。 君たちはどう生きるか 作者: 吉野源三郎 出版社/メーカー: マガジンハウス 発売日: 2017/08/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 1,930年代に書かれた…

カズオ・イシグロは「日本人」なのか

ボブディランの受賞や村上春樹が取れないことで、毎年話題に上がるノーベル文学賞ですが、先日、カズオ・イシグロさんが受賞しました。 「私を離さないで(Never let me go)」くらいしか読んだことはないけれども、とてもうれしい出来事でした。 しかし、そ…

うつ病の箱庭(村上龍「コインロッカー・ベイビーズ)

少し間が空いてしまいましたが、読書レビューを教育に絡めて。 友人の勧めで、久々に村上龍を読みました。彼の代表作、「コインロッカー・ベイビーズ」です。 タバコ、セックス、酒、ドラッグ。80年代アメリカを彷彿とさせる、初期作品から得意のテーマで…

夏目漱石の「坊っちゃん」について、休職中の国語教師が語る

病み日記ばかり書いても気が滅入るので、本日は漱石の「坊っちゃん」について。 中一の教科書に第1章、生い立ちから卒業後の旅立ちの場面までが書かれています。 一般的に、破天荒な「おれ」と純粋な愛を注ぐ下女の「清」との絆の物語、という「美談」とし…